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導入事例紹介

株式会社三好不動産様にて運営されている、賃貸物件オーナーとのコミュニケーションをIT化するツール「オーナーWeb」へのクラウド型WAF「Scutum」導入事例。

株式会社三好不動産様

古くから続く商習慣がネックとなり、デジタル化が遅れているといわれる不動産業界。その状況をチャンスと捉えたスタートアップ企業からは、管理業務、仲介業務、物件情報やマッチングなどさまざまな業務にAIやクラウドを活用して支援する「不動産テック(不動産とテクノロジー)」のサービスが続々と生まれている。また既存の不動産企業でも、業務やコミュニケーションをデジタル化する大規模なシフトチェンジに取り組む企業が増えている。賃貸物件オーナーとのコミュニケーションをIT化する「オーナーWeb」を開発・導入した三好不動産もその1つだ。開発を主導した経営企画部の湯村様とDX推進部の横田様に、同サービスの公開と同時に「Scutum」を導入したその背景と経緯を伺った。
※本取材はオンラインにて実施しました。

規模 セキュリティ担当者 業種 導入対象
101~500名 - 建設・不動産 業務支援システム
課題
  • セキュリティーポリシーを強化したかった
  • 預かっている個人情報の保護
決め手
  • セキュリティレベルの高さ
  • 開発者または提供会社(SST)への信頼
  • 防御ルールのチューニングが不要
効果
  • 会社の信頼性が向上した
  • 脆弱性にもいち早く対応してくれる
株式会社三好不動産 DX推進部 横田 寛 様 株式会社三好不動産 経営企画部 湯村 輝昭 様

【写真右】
株式会社三好不動産
DX推進部
横田 寛 様

【写真左】
株式会社三好不動産
経営企画部
湯村 輝昭 様

同社初の「オーナー限定Webサービス」にWAFが求められた理由とは

まずは「Scutum」を導入された「オーナーWeb」についてお聞かせください。

当社と当社管理物件のオーナーとのコミュニケーションをIT化するツールとして2020年の10月から提供を開始しました。賃貸管理業務では、オーナーとの間で数多くのコミュニケーションが発生します。具体的には代行集金した家賃の送金や報告、入退居状況、入退居に伴う工事関係や手続き関係などで、これまでは対面や電話、郵送で連絡を行っていました。それらを一括してWeb上で行えるようにしたのが「オーナーWeb」です。

開発の経緯として、どのような課題があったのでしょうか。

開発の背景には「2割の壁」がありました。賃貸管理業務についてのアンケートでは、約8割の方に満足いただけているのですが、残りの2割弱の方からは「連絡を簡素化したい」「必要な情報が早く欲しい」「連絡よりも提案が欲しい」といった要望を毎年のようにいただいていました。要望にお応えするよう努力しているものの「2割弱」という数字をどうしても減らすことができなかったのです。そこで考え方を変える必要性を感じ、これまでの人と人との対面コミュニケーションを重視しながら、その不足を補うツールとして開発しました。

構想は3年前にさかのぼります。その間にはパッケージ型の不動産オーナー向けアプリやサービスの利用など、さまざまな試行錯誤がありましたが、オリジナルのシステムの開発が必要との結論に至り、経営企画部が中心となりDX推進部と共に開発を行いました。顧客であるオーナーの7割〜8割が60歳以上という調査結果があり、Webでのコミュニケーションに抵抗感を抱かれるのではないかという心配はありました。しかし、実際にオーナーに話を伺うとお孫さんとの連絡でスマホを使っていたり、PCの保有率も思いのほか高かったため、導入へと舵を切りました。また福岡県でも緊急事態宣言が発令されるなど、新型コロナウイルス感染拡大による影響で対面が難しくなってしまったこともあり、コミュニケーションの切り替えは予想よりもスムーズに進められました。

WAFの必要性は、どのような理由から判断されたのでしょうか。

家賃等の送金明細からはオーナーの資産情報が、また、入退居状況からは入居者の個人情報も分かってしまいます。絶対に漏洩が許されないオーナーと入居者の双方の情報を扱っているため、「オーナーWeb」を提供するにあたっては、可能な限り対策を施して情報漏洩を防ぐという大きな課題がありました。加えて、利用者を限定したWebサイト・サービスを提供するのも当社初の試みでしたので、AWS上での通信暗号化やユーザーのパスワード認証など、二重三重の対策を設けるなかで、WAFの必要性も認識し検討を行いました。

始まりは、迅速な脆弱性診断の対応による「SSTへの信頼感アップ」

当初は脆弱性診断でSSTへお声がけいただきました。

セキュリティ対策の一環として、第三者からの攻撃を想定した脆弱性診断を実施するにあたり、依頼先として検討したうちの1社がSSTでした。以前からSSTの診断実施とScutumを導入していた関係者より話を聞いていて、運用の信頼度も高かったので診断の候補として挙がりました。

SSTの脆弱性診断を採用した理由をお聞かせください。

Webサービスの公開と同時に攻撃のリスクが生じることから、脆弱性診断の結果に対する改修や対策も公開に間に合わせる必要がありました。脆弱性診断について、SSTへお声がけしたのが、公開日まで2カ月を切ったタイミングでした。さらに、開発スケジュールが後ろ倒しになり、当初の日程から1〜2週間ほどずれこんでしまいました。正直なところ、スケジュールを理由に断られてしまうのではないかと思っていましたが、厳しい条件のなかでも、柔軟にご対応いただき、かつ迅速なご連絡をいただけて、とてもありがたかったです。その厳しい条件のなかでのスケジュール打診にも当日中に必ずご連絡をいただけたので、とてもありがたかったです。もともとの信頼感に加えて、よりいっそう信頼が高まりました。

続いて導入された「Scutum」の決め手はどこにありましたか?

AWSで構築した「オーナーWeb」の内部に関してはAmazonがセキュリティを担保しますが、外部に公開されるアクセス可能な範囲は、ユーザー側で担保することになります。しかし公開部分のセキュリティを担保するのも、セキュリティ上のトラブル発生時に即時にかつ柔軟に対応するのも、大変難しいことです。「Scutum」を導入すればユーザーの知識や技術のみに頼ることなく専門家視点でのセキュリティを担保できるうえ、柔軟な即時対応が可能になる点が決め手となり導入しました。

業界標準ではなく「金融機関レベル」のセキュリティを目指す

「Scutum」導入のメリットをお聞かせください。

これからも自社でセキュリティ対策を行っていきますが、未知の脅威への対策や、今後の機能拡充によって資産情報や個人情報以外の“漏洩が許されない情報”を扱う際に求められる新たなセキュリティ対策は、「私たちだけではできない」という認識でいます。社内での対応には限界もありますし、万が一対応に間違いがあったときのセーフティーガードがないというリスクもあるからです。当社がベストを尽くす一方、セキュリティ専門企業であるSSTの「Scutum」と脆弱性診断を併用することで、二社の協力体制によるセキュリティを担保できます。それと同時に、セキュリティ対策の取り組みを社内外へ説明することが可能となり、安心と信用に繋がっていくと思います。これらは大きなメリットなのではないかと、私は考えます。

お話を伺って、セキュリティを重視する企業文化が培われているのが印象的でした。

ある程度の規模の企業では、当社のような情報システムの専門部署があるのが一般的ですが、不動産業界に限っていえば総務、経理、システム担当が一緒になっているようなところがほとんどなのが実情です。当社の規模の不動産企業でDX推進部だけで8名もいるというのは、全国的にも珍しく多いほうだと思います。

IT企業やシステム会社の方からは普通の話かもしれませんが、一般的な企業や不動産業界でそこまでやっている企業はまれだと思います。また部署全体でセキュリティの新しい脅威への対策を常に模索しているのは、珍しいのかなと。

最後に今後の展望をお聞かせください。

セキュリティに限らず三好不動産が新しい取り組みを行うと、同業他社が追随されることもあります。そのため「オーナーWeb」も「私たちには失敗は許されない」という思いを持ちながらスタートしました。セキュリティについての展望としては、不動産企業として求められるレベルではなく、「総合資産管理会社」を標榜する企業として金融系企業と肩を並べるレベルを追求していきたいと考えています。

■ 株式会社三好不動産様 ご紹介

株式会社三好不動産様

1951年に創立した三好不動産は、2020年に70周年の節目を迎えた。遠洋漁業の基地だった現在の福岡市中央区唐人町で漁師への収入保障としてアパート建築と賃貸経営を提案したのが同社の不動産管理事業の始まり。遠洋漁業での航海は長期にわたるため、その留守を預かり、物件管理や家賃集金を請け負う「不動産管理業」を全国で初めて確立する。不動産を資産のひとつと捉え、不動産の枠を超えて考える「超・不動産宣言」をビジョンに掲げ、物件管理から資産管理へ総合不動産として時代の変化に沿ったビジネスモデル構築を日々目指している。